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ローザンヌ

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IRON ATTACK!として、久々のフルバンドでヨーロッパへ行ってきました。

 

 

スイスは、私が人生で最も訪れた国…だった所です。(2015年に中国へ行って以降、最も訪れた国は中国になりましたが)

スイスという国は、4つの母語を持つ多言語国家です。

7割近くがドイツ語(スイス独特のスイス・ジャーマン)を母語とする、ジャーマン・パート。

多くの国際機関が置かれる、フレンチ・パート(フランス語圏)。

8,000m級の山々が連なるアルプス山脈以南に広がる、イタリー・パート(イタリア語圏)。

そしてハイジの舞台になった、ロマンシュ語を話す地域。

 

我々が今回招かれたのは、フレンチ・パートです。ある意味、世界の中心ですね。

人類の文化圏というのは、言語で分かれていると思います。ラテン人とは、ラテン語を話す人々、というように。

ですのでフレンチ・パートのコンベンションには、同じ言語圏という事で、フランスからも多くの人々がやって来ます。サインを求められたとき、「どこから来たの?」という質問をして、その人の出身地方の名産や気候や歴史を話す、というのは私のヨーロッパにおける得意技なのですが、フランス、特にジュラやサヴォワ地方からの人の多さに驚きました。

そして、フランスとスイス・フレンチでは微妙な差があることも教わりました。

例えば、Dinerはフランス語で夕食だけど、スイスではSouperと言うそうです。そしてDinerだと昼食という意味になります。

夕食が23時を過ぎることも多いフランス人と違い、スイス人は夕食をスープだけで済ませる事が多いからだそうです。言語は文化という象徴的な例ですね。

 

また、チップの有無も違います。

スイスでは、チップ文化は希薄で、ここはフランスとは大きく違います。理由はやっぱり、賃金の高さでしょうか。

とはいえ私たちは、どうもチップが無いと気持ちが悪いというか、必ず渡してしまいます。

 

 

 

2015年、スイスフラン・ショックがあった年。私はLIGHTNINGとIRON ATTACK!で、2度もスイスへ行きました。ジャーマン・パートとフレンチ・パートへ1度ずつ。

その時は、世界一の物価を身に沁みて感じしていたのですが(ショッピングモールのフードコートでランチを食べて、6,000円。ラーメン4,000円、回転寿司1皿1,000円)、当時より1CHFにつき30円以上相場が下がった今では、それほど脅威は感じませんでした。
もっとも、私たちは立場上、外貨が上がれば上がるほど相対的に収入が増える上、現地で自分のお金で何かを買う事はほとんど無い(食事から何から、全て主催が支払ってくれる為)わけですから、金融ショック大歓迎なのですが。

 

 

 

自分たちが、芸術的才能の面で恵まれていたおかげで、経済的にも恵まれるという正当な現状。

この自分たちの人生と、昨今の、いや具体的には、私が2011年にフランスへ初めてコンサートで渡って以降の、雨後の筍の如き有象無象のバンドによる無計画な海外ツアーを鑑みて、今回は特に思う点がありました。
CDが売れない今、多くのバンドは、クラウド・ファウンディングなどで乞食のように他人からお金を恵んでもらい、ツアーをするという悲惨な経済状況です。彼らは自分から白旗を挙げているわけですから、ビジネスとしての成功は起こり得ません

では、経済的に成功しているバンドは何が違うのかと考えた時、やはり”大局的なお金の流れを見極める力”というのは、決定的な差を生む1つの要因だと思います。もちろん、それを実現させるだけの最低限の体力(経済的体力)も必要です。

そして一番重要なのは、言語も含めたコミュニケーションの力です。
文化、歴史に対する理解と尊敬。そしてヨーロッパでいえば、ワインというのは大変重要なキーアイテムになります。
バンドとしての成功の秘訣がワイン、というのは、所謂バンドマンの方々には意外に思われるかもしれませんね。
 
先ほどは便宜上、"今はCDが売れない"と書きましたが、それは私に言わせれば逃げ口上です。
タレントに魅力があれば、オーディエンスはファン・アイテムとして、CDを買います。
ある時、私より小さな女の子がTシャツを買いたいといってきたのですが、盛況な販売状況につき殆どのSサイズ(女性用)のTシャツは売り切れており、XXLサイズのTシャツしか残っていませんでした。それでも欲しいというので、「これは君には大きすぎるよ」と言ったところ、「じゃあ家でパジャマにするから、売ってくれ」と言われました。つまり、サイズ感がどうという問題ではなく、好きなバンドのTシャツが欲しい、好きなバンドに貢献したいのです。私は、ヨーロッパではしばしばこうした経験をします。
儲からないのは、自分に魅力が無いか、うまく伝えられていないのです。
 
 
 
今回は、スイスという世界で最も豊かな国が舞台だっただけに、自分の恵まれた活動状況は、世界の経済に依存するものなのだと痛感しました。
その意味で、もしもライブ興行の難しい発展途上国でのツアーを行う時、いつかそんな日がやって来たら、白旗を挙げる事もあるかも知れないな、と逆説的な真実も悟りました。
 

色々感じた事をただ書き連ねただけでしたが、近いうちにツアー動画も作りたいと思います。

まだまだ感じた事はたくさんあるのですが、それはまた別の機会に書こうと思います。


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