ここだけの話、今年はアルバムを作れば作るほど赤字です。
まあ、イベントやライブなどの売る場も無く、ショップも自粛(現在は時短営業)していたのですから、当然ですね。
なので、もうすっかり誰も新作を出さなくなってしまいました。
私 以外。
「ライブもイベントも無いなら、せめて音源を出さなければ、死に体ではないか」との思いから、もはや何のイベントに付随したものでもなく、「季刊IRON-CHINO」としてリリースを続けています。
そんな中でも、傑作と思える楽曲群が生まれているという、コロナ禍での現実。思えば会社員時代、毎夜深夜に及ぶレコーディング等の作業と、極端に少ない睡眠時間の中で作り出していった作品たちが、決して駄作ではなかった事を考えると、やはり創作に環境は関係ないのだと痛感します。
それでは、全曲解説!
1、Perfume of silence
(歌:まいなすいょん)
堂々たる1曲目の風格。メロディは極上にて激情。
まいなすいょんの歌唱は、回を追う毎に素晴らしく成熟されていきますね。頼もしい限りです。
「さよならも口づけで閉じ込めて」というフレーズが、実にロマンティックですね。
ギターソロは、どことなくHELLOWEENみたいです。個人的見解。
私の中でこの曲は、「20代の頃じゃ、絶対に作れなかった曲」。この濃厚な人生の中で出逢った、様々な感動と、長年の闘いで培った理論と技術。それが具現化した楽曲です。
2、YATSUGATAKE Thousand winds
(歌:Dummy)
新たに導入したMarshall最強シミュレーターを用いた、今回の個人的ベスト・ノリノリチューン。
唸るマーシャル!RainbowとGAMMARAYからしか影響受けてません!というような潔さがイイですね!Dummyさんの歌も、気合入りまくり!
というか、Dummyさんはいつでも気合200%男なんですよ。今一番アツいシンガーだと思います。
「ヤ!ツ!ガ!タ!ケ! Thousand winds」とか、正気の沙汰とは思えないバカバカしさ(かっこよさ)ですね。ライブで盛り上がりそう。
ちなみにオルガン・ソロは、私が弾いてます。勿論、私はオルガニストではないので、ミスした箇所は、本来あるべき形に修正してます。
3、Razing storm ~駆け抜ける嵐~
(歌:中村拳一郎)
拳さん節ですね。アニソンっぽい曲の多いIRON ATTACK!の中でも、なかなかの右翼曲です。私の言うアニソンというのが、世間の認識と別の並行線上にあるのは自覚していますが、ここを読んでいる皆さんなら、きっと共感してくれることでしょう。
サブタイからもわかるように、随所に「ガンダム0083」オマージュ的な歌詞を散りばめています。
4、殺生のMyst on the hill
(歌:勇舞)
赤面するぐらいに’80sアメリカンHR/HMですね。そしてギターの音が良いですね。誰が聴いてもMarshallです。
ミッドテンポは、本当に好きです。「ミドルで良い曲を書けるのが、真の実力者」とは、悶絶メタルK氏より享受したお褒めの言葉ですが、また1つ、ミドルの傑作が出来たと思います。
歌詞は、インドから中国、そして日本へ渡ってきて、現在は殺生石(栃木県)に封印されているとされる最強妖怪、九尾狐について歌っています。なので、ちょっと犬夜叉っぽいワードが出てきます。タイムリーですね。
ギターソロは、歪みを最低限に抑え、ノイズなども敢えてそのまま残して収録しています。’80年代の、あの生きた感じを出したかったのです。
5、Nobody knows her mourning
(インスト)
定期的に私がやる、この手のインスト。
変態リフ。リードギターは、わけわかんない系テクニカルに、しかし極めてメロディックに。
曲の最後、一瞬終わったかと思うブレイクの後、また少しリフを出して終わるという展開。これをIRON ATACK!では、「丼」(DONBURI)と呼んでいます。これは昔、吉幾三がやっていたCM「DON DON DONBURI」(多分。もうYoutubeにも無いので、正式名称はわからない)のソングが、そのような展開だった事に由来します。 ※代表的な物だと、「Stay insider」がそうですね。
それを踏まえて聴き返して欲しいのですが、このアルバム、丼展開が非常に多用されているのです。
6、蒼穹なりし老荘の郷(無何有の郷)
(インスト)
やりたい事がやれました。
これも’80年代ですよね。しかも北欧…いやアメリカかな?ソ連かも知れない。
ギター的には、実は1曲の中で様々な音楽スタイルのプレイが出てきます。ブルージーだったり、クラシカルだったり。このやり方は、私の常套スタイルで、コントラストを持たせて各々の良さを引き出しているのです。風車の理論の応用です。
ストラトで弾いてそうな曲ですが、実はいつものJacksonを使っています。ここまで音数の少ない、ギター・オンリーのようなインストだと、ストラトはノイズ問題的に難しい所です。しかしノイズゲートとかは使いたくない、使わない派なので。
極力ストラトのような音作りにして、歪みも抑え気味。Marshallアンプ直結(ところにより"DOD Overdrive preamp"を使用)のようなサウンドに、クリスタルのような透明感のリバーブ、みたいに仕上げました。まるでレニングラードの冬。
7、Rainbow Sky!
(歌:まいなすいょん)
いよいよIRON ATTACK!でも、こんなアブエリみたいな曲が出来ました!なんて私好みの曲でしょう。
この、ライブで演奏する為に生まれたような曲は、近年の中で上位に入るお気に入りです。ライブ特典DVDでも奏法解説してます。
メジャー(長調)の曲というのは、ストレートに作るとフックが無い(当たり前)ので、転調などは普段以上に激しく行っています。なかなかテクニカルです。
ギターサウンドは、Marshallに直結したぐらいの、驚くほど少ない歪みで、ルドルフ・シェンカーのようなキレ味軽妙なリフ・ワークを目指しました。
まいなすいょんの歌唱は、これこそ水を得た魚のように、生き生きとしてますね。待ってました。
そしてギターソロは、"福山芳樹さん+ミヒャエル・ヴァイカート"といった風合い。
これこそ、世界でもIRON ATTACK!にしか出来ない音楽性。
8、Fall into a crisis
(歌:Dummy)
いきなりアコギが良い音ですねえ。スロー・ナンバーです。Dummyさんの新たな魅力ではないでしょうか?
当初、この曲はJINNさんが適任かと思っていたのですが、それだといつも通りかだと思い、Dummyさんの情熱に賭けてみました。結果、大正解。
いつもDummyさんの歌唱はそうなのですが、1番の最初より、最後のほうのが明らかにエモーショナルなんです。常に気合は200%なのですが、歌ってるうちに、さらに過熱してきちゃうんでしょうね。だから曲を通して、1つのストーリーの様です。
サビの最後、Scorpionsの「ロボットマン」みたいなシークェンス・メロディが耳に残ります。
この曲が最後というのは、アルバムとしての構成が締まるというか、ここへきて遂に作品が完成したという感じがします。
以上。
全体的に、Marshallアンプが大活躍の、’80年代HR/HM的作品です。意図したわけじゃないんですが、最近Praying MantisとかLIONとかよく聴いてるので、その影響が出たんでしょう。まあ、全然それっぽい曲はないんですけど。
’80sアメリカンは、ポップスであれメタルであれ、「上手くて、音が良くて、わかりやすい」という、当時としては非常にエコノミック・スケールの大きな音像です。そのあたりを再現できてたら嬉しく思います。勿論、
私の音楽的ルーツは、英国、そしてドイツ産のHR/HMですので、いわば 「ブリティッシュ9割、アメリカン1割で、アニメ&特撮ソングのシェフが調理したコース全8品」。
皆さまの心のお口に合えば幸いに思います。
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